「世界一ズッコケた鳥」——そう呼ぶ人がいるのも、なんとなくわかる気がします。
空は飛べない。昼間は寝てる。繁殖は数年に一度。
なのに顔はモフモフで、なんかちょっとニコニコしてる。
そんな矛盾だらけの鳥、カカポが今まさに絶滅の崖っぷちに立っています。
世界中に残っているのは、なんとわずか236羽(2026年現在)。
東京ドームを満員にするどころか、小さな映画館にも入りきれない数です。
でも知れば知るほど、この鳥のことが好きになるんですよ。
今日はそんなカカポの世界に、一緒に飛び込んでみましょう(カカポは飛べないけど)。
カカポって、何者?見た目から個性がすごい

モフモフなのにオウム?その独特すぎる外見
カカポを初めて見た人は、たいてい「フクロウ?」と言います。
丸い顔、黄緑色のふわふわした羽毛、大きな目——たしかにフクロウっぽい。
でも実はれっきとしたオウムの仲間です。
正式な別名は「フクロウオウム」。そのまんまですね。
体重は最大4キログラムほどになります。
これ、2リットルのペットボトル2本分くらい。
オウムとしては世界最大・最重量の種類なんです。
顔の周りには、フクロウと同じように「フェイシャルディスク」という羽の輪があります。
これが音を集めるアンテナのような役割を果たしているとも言われています。
見た目だけじゃなく、機能まで似てるなんて面白いですよね。
夜しか動かない、世界一マイペースな鳥
カカポは夜行性です。
昼間はひたすら草むらや木の根元でじっとしています。
動き出すのは日が沈んでから。
夜の間にのっそのっそと歩き回り、草や果実を食べます。
知ってました? カカポって木にも登るんです。
翼をバランサー代わりにしながら、器用によじのぼります。
飛べないくせに木登りは得意という、なんとも個性的なスキルの持ち主です。

なぜ空を飛ばないのか?進化の不思議な話
天敵がいなかったから飛ぶ必要がなかった
カカポが暮らすニュージーランドは、もともと哺乳類の天敵がほとんどいない島でした。
ネコもイタチもネズミもいない。
そんな環境では、危険を察知して空に逃げる必要がないんです。
飛ぶためには大きな筋肉と軽い体が必要です。
でもその筋肉を維持するにはたくさんのエネルギーがいる。
「飛ばなくていいなら、飛ぶのやめようか」——そうやって長い時間をかけて、カカポは飛ぶ能力を手放していったんです。
これ、進化的にはとても合理的な選択なんですよね。
……ただ、その後に人間が連れてきた外来種によって、一気に状況が変わってしまうのですが。
飛べない代わりに発達した意外な能力
飛べない代わりに、カカポの脚はとても発達しています。
かなりの距離を歩き、急な斜面も難なく移動できます。
また、危険を感じたときはその場で「フリーズ」して動かなくなる習性があります。
緑色の羽毛が草に溶け込んで、カモフラージュになるわけです。
これ、天敵が視覚で狩りをする生き物には有効な戦略でした。
でも残念ながら、ネコやイタチは嗅覚で獲物を探すので、止まっていても見つかってしまう。
環境が変わると、かつての武器が弱点になってしまうんです。切ないですね。
繁殖がレアすぎる!数年に一度しか子どもを作らない理由
リームという木の実が実らないと繁殖しない不思議な仕組み
カカポが繁殖するのは、「リーム」という木が実をつけた年だけ——と言われています。
リームはニュージーランドに生える大きな木で、豊作の年は数年に一度しかやってきません。
その実を大量に食べることで、カカポのホルモンバランスが変化し、繁殖モードに入るとされています。
つまり、この木が豊作じゃないと、子どもが生まれないんです。
数年に一度しかチャンスがない。
これが個体数をなかなか増やせない大きな原因のひとつになっています。
オスのアピールがちょっとシュールで可愛い
繁殖期になると、オスたちは山の上に集まります。
そして「ブーン……ブーン……」という低い音を、夜通し鳴り響かせます。
この音は数キロ先まで届くと言われています。
それを何時間も、何日も繰り返す。すごい根性ですよね。
でも実はこの重低音、人間の耳には聞こえにくい帯域なんです。
現地に行っても「なんか空気が振動してる気がする…?」くらいの感覚らしい。
メスはその音を頼りにオスのもとへ向かいます。なんともロマンチックな、でもちょっとシュールな求愛活動です。

絶滅まで残りわずか…保護活動の現場がドラマすぎる
全頭に名前がついている!個体管理の徹底ぶり
カカポは現在、ニュージーランド政府が全力で保護しています。
その管理の徹底ぶりが、ちょっと感動モノなんです。
なんと、生きているカカポ全頭に名前がついています。
「シロッコ」「スポット」「ヘクター」——みんな個別の名前で呼ばれています。
さらに全個体にGPS発信機を装着し、健康状態を定期チェック。
卵が産まれたら人工ふ化も行い、ヒナの成長を徹底サポートします。
これ、もはや「管理」というより「家族」に近い関係性ですよね。
ニュージーランドが島ごと守る「カカポ専用の島」
カカポを守るために、ニュージーランドは離島をまるごと「カカポ保護区」にしました。
その島から外来種を徹底的に排除し、カカポだけが安全に暮らせる環境を作っています。
島に渡れるのは許可を受けた研究者や保護スタッフだけ。
1995年には約50羽まで減っていた個体数が、保護活動によって236羽(2026年)まで回復しました。
少しずつですが、確実に増えています。
この数字、本当に多くの人の努力の積み重ねなんです。
カカポが世界中のファンに愛される理由
SNSで話題になったあの「抱きつき事件」の真相
カカポをインターネットで一躍有名にした動画があります。
BBCの自然番組の撮影中、「シロッコ」というカカポが突然カメラマンの頭に乗り、そのまま交尾しようとしてしまった——というあの映像です。
シロッコは人間に育てられたため、人間をパートナーとして認識してしまっていると言われています。
困り果てるカメラマンと、マイペースすぎるシロッコ。
その映像は世界中で笑いと愛情をもって受け入れられ、カカポの認知度を一気に上げました。
シロッコはその後、カカポ保護活動の「広報大使」に任命されています。
ズッコケたことが逆にヒーローへの道を開いたわけです。なんかいいですよね。
グッズや支援活動で世界が注目している
カカポにはいま、世界中にファンがいます。
ぬいぐるみはオンラインショップで人気商品になり、支援金を集めるクラウドファンディングも何度も成功しています。
SNSではカカポの誕生や成長のニュースが流れるたびに、世界中から「おめでとう」のコメントが集まります。
200羽しかいない鳥が、これほど多くの人に愛されている。
飛べなくて、昼間は寝てて、数年に一度しか繁殖しなくて——そんなカカポが、なぜかこんなにも人の心を動かす。
それってきっと、「不完全なのに一生懸命生きている」姿が、どこかの誰かの心に刺さるからじゃないかなと思うんです。
カカポが絶滅しないように、これからも応援し続けたい。
そう思わせてくれる、不思議な魅力を持った鳥です。
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