体長5cm、体重30g。手のひらに乗るサイズ。
しかしその皮膚には、成人男性10人分の致死量の毒がある。
そして飼育下に置くと、無毒になる。
シアン化物の1,000倍の毒
モウドクフキヤガエルの皮膚に含まれるバトラコトキシンは、シアン化物(青酸カリ)の1,000倍の毒性を持つ。わずか約100〜200μgで成人男性を死に至らしめる。1匹のカエルが持つ毒の総量は、10人の成人を殺すのに十分だ。
現地のチョコ族はこの毒を吹き矢に塗って狩りに使ってきた。「毒吹き矢蛙」という和名の由来だ。

飼育すると無毒になる謎
驚くべきことに、飼育下のモウドクフキヤガエルは完全に無毒になる。
毒の原料は、野生で食べている特定の甲虫(Melyridae科)に含まれるアルカロイド。この甲虫を食べないと、毒素を合成できない。
つまり、カエル自身が毒を「作る」のではなく、食べ物から「集めて蓄積している」のだ。食事が変わるだけで、世界最強の毒ガエルがただの鮮やかな小さなカエルになる。
黄金色は「触るな」の警告
モウドクフキヤガエルの鮮やかな黄金色は警告色(アポセマティズム)。「自分は毒を持っている。食べたら死ぬぞ」という視覚的メッセージだ。
同じヤドクガエル科には、赤、青、緑、オレンジなど、さまざまな色の種がいる。すべて「触るな」のサインだ。
まとめ:5cmに詰まった地球最強の毒
体長5cm、毒はシアン化物の1,000倍、10人殺せる。でも飼育したら無毒。
モウドクフキヤガエルは「食べたもので武装する」という進化戦略の極致だ。食べ物を奪えば丸腰になる。最強と最弱が、食事ひとつで入れ替わる。


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