ソリテア|ドードーの従兄弟は翼で殴る武闘派だった。たった1人が残した記録

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ドードーには、従兄弟がいた。

モーリシャスの東、ロドリゲス島。ドードーより大きく、ドードーより気性が荒く、翼にボクシンググローブがついていた

ドードーの従兄弟、でもこっちの方が強い

ロドリゲス・ソリテアは、ドードーと同じくインド洋の孤島で進化した飛べない巨大バト(ハト目)だ。ロドリゲス島という、モーリシャスから約560km東に浮かぶ小島だけに生息していた。

体重はオスで約28kg。ドードーの約10〜18kgを大きく上回る。メスはもう少し小さく約17kg。鳥類で最も性的二型(オスメスの体格差)が大きい種のひとつだった。

そしてドードーと決定的に違うのは、こいつは戦うということだ。

ソリテアの写真
出典: Wikimedia Commons

翼についたボクシンググローブ

ソリテアのオスの翼には、「マスケットボール」と呼ばれた骨の瘤(こぶ)がついていた。ゴルフボールほどの硬い骨のかたまりだ。

飛べない翼の先端についたこの瘤を、ソリテアは武器として使った。縄張り争いでオス同士が激しく翼を振り回し、この骨のハンマーで殴り合う。

フランス人のフランソワ・ルグアが1691〜1693年にロドリゲス島で暮らし、詳細な観察記録を残している。彼はこの翼での殴り合いを「プロペラのように翼を回転させて相手を打つ」と記述した。その音は200m先まで聞こえたという。

飛べない翼を「パンチ」に転用した、鳥類界で最もバイオレントなリサイクルだ。

求愛も独特だった

ルグアの記録によると、ソリテアの求愛行動は非常に凝っていた。

オスは退化した翼をバタバタさせて「ブンブン」という音を出し、メスを誘う。つがいになると2羽で「首を絡め合うように」体を寄せ合った。

1度つがいになると生涯連れ添ったとされる。殴り合いの達人が、恋愛では一途。ギャップがすごい。

卵は1回に1個だけ。つがいで交代しながら約49日間温め続けた。ヒナが巣立った後も、しばらくは家族3羽で行動していたという。

唯一の証言者ルグア

ソリテアの生態がここまで詳しくわかっているのは、フランソワ・ルグアのおかげだ。1691年、ユグノー(フランスのプロテスタント)の移民団9人がロドリゲス島に入植し、約2年間暮らした。

ルグアは博物学者ではなかったが、並外れた観察眼の持ち主だった。ソリテアの外見、行動、食性、繁殖、縄張り争いまで克明に記録した。

これが生態を詳しく記録した唯一の一次資料であり、ソリテアの全知識のほとんどがこの1人の証言に依存している。ルグアがいなければ、ソリテアはドードー以上に何も知られていない鳥になっていた。

地中から現れた大量の骨

19世紀、ロドリゲス島の洞窟から数千本のソリテアの骨が発見された。1760年代頃までに絶滅したと推定される(ルグアの滞在から約100年後)。

DNA分析の結果、ソリテアとドードーはハト目の中で姉妹群であることが確認された。約2,500万年前に分岐し、それぞれモーリシャスとロドリゲスで独立に巨大化・飛翔能力喪失の道を歩んだ。

つまり、2つの島で2羽の巨大ハトが、並行して飛べなくなった。収斂進化の教科書的な事例だ。

まとめ:殴る翼、一途な愛、たった1人の証人

ドードーが「バカで太った鳥」というイメージで語られるのに対し、ソリテアは「武闘派で一途な鳥」だった。飛べない翼を武器に変え、縄張りを守り、パートナーには生涯寄り添った。

その生涯を記録したのは、たった1人のフランス人移民。彼の手記がなければ、この鳥の「個性」は永遠に失われていた。

ドードーの陰に隠れた従兄弟。でも、こっちの方がずっと面白い。

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